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BMWのクルマって、CD値にあまりこだわっていないようです・・・

BMWのクルマはベンツ車などに比べると、CD(Cd)値低減へのこだわりが少ないのだそうです。そんなことで天下のBMWが良いのかと思い、調べてみました。そうすると、意外にもCD値って不思議なものなんです。ある意味BMWも正しいかも・・・・

『BMW』って・・・・?

BMWとは、ドイツのバイエルン州ミュンヘンを拠点とする自動車および自動二輪車、エンジンメーカーです。
BMWは、バイエルン発動機製造株式会社をドイツ語にしたBayerische Motoren WerkeAGの頭文字を取ったものです。

同社はBMWの他に、英国のロールス・ロイスとMINIの2社を傘下のカー・ブランドとして所有しています。
BMWの本社ビルは、エンジンのシリンダーを模した円筒形を4つ組み合わせたような形をしており、ドイツ語でフィーア・ツュリンダー(Vier Zylinder)、英語でフォー・シリンダーズ(Four Cylinders)と呼ばれています。

なおBMWの読み方は、ドイツ語読みでは「ベー・エム(ム)・ヴェー」であり、日本では1981年の日本法人 BMW JAPAN設立以来、英語読みの「ビー・エム・ダブリュー」が一般的になっています。

『CD値』って・・・・?

一方、CD値という言葉の意味を、ご存知でしょうか・・・・?
『CD値』とは、日本語では空気抗力係数と訳され、空気抵抗を求める際に使われる係数で、
       空気抵抗=(CD値)×前面投影面積(S)
で表されます。

したがって大きなクルマは通常、CD値が小さくても前方から見た面積が小型のクルマより大きいため、空気抵抗は大きくなります。
また、空気抵抗は速度の2乗に比例しますから、速度が2倍になれば4倍の空気抵抗がクルマのボディに加わります。

BMW車のCD値ランキング

ここでは、BMW各モデルの空気抵抗係数(CD値)を調べてみることにします。

≪BMW E90≫

BMW E90 旧 3シリーズセダン CD=0.30
BMW E92 旧 3シリーズクーペ CD=0.30
BMW E90 旧 M3セダン CD=0.30
BMW E92 旧 M3クーペ CD=0.31

≪BMW F30≫

BMW F30 現行 3シリーズセダン CD=0.30
BMW F32 現行 4シリーズクーペ CD=0.30
BMW F80 次期 M3セダン CD=0.34
BMW F82 次期 M4クーペ CD=0.34~0.35

お気付きですか・・・? 空力性能的にはBMWの次期M3/M4はよろしくありませんね・・・・!
もちろん、実際の空気抵抗はこの係数に前面投影面積を掛けた値なので、この数値だけで判断するのは早計ですが、BMW次期M3/M4は大幅なワイドフェンダー化により前面投影面積がかなり増えている上に、この非常に悪い係数を掛けたとしたら、結果は当然最悪ですよネ~~!!

BMWは昔から空力には無頓着というか、どちらかというと後回しという考え方のようなのです。

BMWのライバル車のCD値

一方、以前から空力性能をかなり重視していると言われる、BMWのライバルのメルセデスはどうでしょうか・・・・?

メルセデスベンツ W204 現行 Cクラスセダン CD=0.27
メルセデスベンツ C204 現行 Cクラスクーペ CD=0.29
メルセデスベンツ C117 現行 CLAクラス CD=0.22~0.23
メルセデスベンツ W205 次期 Cクラスセダン CD=0.24

やっぱりメルセデスは段違いに優秀ですネ!
しかも、新しいモデルはちゃんと向上してるし、BMWに比べると高速域で安定していると言われるメルセデスの秘密は、足回りやステアリングフィールだけでなく、こういうところにもあるのかも知れませんね。
まさに空力性能に優れた車の代表格です。

「変形」して空気抵抗を減らす、メルセデスの未来型サルーン「IAA」【フランクフルトモーターショー15】

『空力性能に優れた車』って・・・・?

空力性能については、一般にCd(抗力係数)が大きく取り上げられますが、実際はCL(揚力係数)、CYM(ヨーイングモーメント係数)も含めたトータルで見るべきなのです。

つまり、空力性能のすぐれたクルマとは、空気力学のあらゆる要素を総合的に追求し、走行抵抗が少なく、高速安定性にすぐれ、風切り音が少ないなど、運転する上で阻害要因の少ないトータルバランスのすぐれたクルマのことを言うのだと思うのです。

そのうえ、風は必ずしも前から受けるものだとは限りません。
クルマがいろいろな角度から風を受けたときに、その中心軸まわりに回転させようと働く力(直進性を妨げようとする力)がヨーイングモーメントですが、そのCYM値が小さければ横風にも強いということになるのです。

要するに、トータルなエアロダイナミクスの向上が車には大事だということになります。

NSX-R (III型 LA-NA2) 開発車インタビュー②エアロダイナミクス ホンダ上原氏

CD値って大切・・・・?

ここまでCD値について色々と調べてきましたが、今さらですが「CD値はそんなに大切」なのでしょうか・・・・?

例えば前方投影面積が 2.6001、CD値が0.25というかなり優秀なA車があったとします。

同様に、前方投影面積が3.1372、CD値が0.33というB車があります。

これらの車を、50km/hで走らせた時と100km/hで走らせた時の燃費の差は、0.45km/L程度だということなのです。
この数値が大きいとするか、それ程でもないとするかは皆さんにお任せするとして、大切なのは次の点ではないでしょうか・・・・?!

【抗力の差はCD値よりも前方投影面積に左右される】
簡単に言えばCD値云々ではなく、前から見てデカい車ほど単純に空気抵抗も大きいということです。

【低速走行時では空気抵抗による差はほとんどない】
空気による抗力は速度の二乗で大きくなりますので、市街地走行時の燃費に与える空気抵抗の軽減効果は微々たるものと言ってよさそうです。

【実用上は高速走行時でも燃費を左右する決定的なファクターにはならない】
高速度一定巡航を行うような時でも、空気抵抗による影響は数%というオーダーです。燃費を気にして空気抵抗の小さいボディの車を選ぶよりは、エコな運転を心がけたり、こまめにオイルを変えたり、こまめにタイヤの空気圧をチェックしたほうがよっぽど効果がありそうです。

先に「BMWは、CD値にあまりこだわっていないようだ」などと記してしまいましたが、ここまで調べてまとめてみると、BMWの開発方針はあながち間違ったものでもないのかもしれないとさえ思えてきます。

当然、この程度のことはBMWを含む各自動車メーカーも分かりきっているのでしょうが、御商売上分かり易い形での他社との差別化を図るに都合の良いアイテムなのでしょうか、CD値追及の流れはますます強いものになってきているように感じます。

その点、CD値にもある程度の留意を払い、他方面での重要な改良を重ね続けるBMWが神々しく見えてきたりしますネ・・・・!

我々ユーザー側の知識の足りなさが、それを助長している最大の要因であることを反省することから、新たなクルマの発展が見えてくるのかも知れませんネ・・・・?!

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