知らないと知っているとでは大違い、車のエンジンの仕組みを紹介
2016/01/09
syun_crowd
燃料電池車。仕組みとしては、水素を使って燃料電池で発電し、モーターで走ります。「電池で発電できるの・・・・?」と言ってるあなたは、この記事をご覧になって燃料電池車に詳しくなってください。燃料電池車の仕組みや安全性、メリットやデメリットをご紹介します。
燃料電池自動車(英: Fuel Cell Vehicle、FCV)というのは、搭載した燃料電池で発電し電動機の動力で走る車のことを言います。
近年、富に話題になることが多くなりましたが、実際にどのような形状をしたどのような仕組みのクルマなのかを、今回勉強したいと思います。
水素ステーション
さて、燃料電池車というのは、どのような仕組みを持って走っているのでしょう。
左のイラストは燃料電池が発電する仕組みの解説図ですが、ご覧の通り水素を燃料電池に与えることで電力を生み出し、電気が起こる訳です。
理科の事件でやった、電気分解(水素を発生させて、マッチで火をつけて「ポン」!!てやりましたネ・・・)の逆の仕組みです。
その電気を走行用のモーターに伝え、車を動かす仕組みを持つのが燃料電池車です。
実際の燃料電池では、電極、触媒、電解質を層状に重ねて、上下に酸素と水素を通した「セル」をたくさん積み重ねて仕組み、燃料電池車の電気を発電しています。
MIRAI
なお、電気自動車(EV)もエンジンではなくモーターで走る仕組みを採用していますが、決定的な違いは燃料電池ではなく蓄電池を用いた仕組みだという点です。
燃料電池車は燃料電池を用いて自ら発電を行う仕組みですが、電気自動車では発電をするのではなく、蓄電池に電力を蓄えておいて、その電力を使ってモーターを動かす仕組みです。
また、ハイブリッドカーはガソリン車の仕組みと電気自動車の仕組みの中間に位置する車です。
エンジンも蓄電池も搭載した仕組みのため、ガソリンを使って動かすこともできますし、電力を使って動かすこともできます。
燃料電池車の仕組みに続いてご紹介するのは、『燃料電池車』の仕組みから見たメリットです。
これをご覧頂ければ、「なぜ国や自動車メーカーが燃料電池車を普及させたがっているのか」が分かると思います。
燃料電池車にはとても大きなメリットがあります。
代表的なものを箇条書きで以下にまとめてみます。
●電気自動車よりも燃料電池車は航続距離が長い
●電気自動車と異なり、燃料電池車には充電は必要ではない
●燃料電池車は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない
●燃料電池車はガソリン車と比べて2倍以上のエネルギー効率を誇る
●燃料電池車は発電しても仕組み上騒音を発生しないため、走行時はとても静か
●走行時に排出するのは水(水蒸気)だけなので、環境に優しい
●補助電源を併用する仕組みにすることで始動性や応答性を高めることができる
●燃料電池車には普通車だけではなくバス(燃料電池バス)も既に開発されている
●燃料電池車は一酸化炭素や浮遊粒子状物質(PM)などといった有害なガスを排出しない
●燃料電池車の燃料となる水素は、ガスや石油やバイオマスなど様々なものから製造できる
などとなります。
燃料電池は化学エネルギーを直接電力に変換する仕組みであるたね、発電効率にも優れています。
他の発電方法では、タービンを回す等という運動エネルギーロスが発生してしまいます。
また燃料電池の最大のメリットとして、発電時に地球温暖化の原因となる「二酸化炭素」や、大気汚染の原因となる「窒素酸化物」などが発生しませんので、「環境に優しい」といえます。
その上、化学反応で発電する仕組みであるため、タービンやエンジンは必要としませんから、「騒音を発生させない」という点が挙げられます。
BMW ハイドロジェン7
何事もメリットばかりではありません。デメリットも当然あります。
燃料電池も例外ではなく、問題点や克服しなければいけない課題を抱えています。
『燃料電池車』の仕組みから見たデメリットを知ることで、「なぜ多くのメリットを持つ燃料電池車の普及がなかなか進まないのか」が分かると思います。
代表的なものを箇条書きで以下にまとめてみると、
●燃料電池そのものの価格が高い
●水素の貯蔵の仕組みや搬送に高いコストがかかる
●ガソリン車ほどの航続距離は実現していない
●走行時の音が静かすぎる(歩行者に気付かれにくい)
●水素を補給するための水素ステーションの整備が求められる
となります。
デメリットの第一番は、エネルギー設備には必ずと言っていいほど付いて回る「コスト」の問題です。
一般家庭に導入できるエネルギー設備として、太陽光発電や蓄電池などがよく知られていますが、これらの設備や仕組みを作ると同様に燃料電池もかなりの初期投資を必要とします。
現在のところ、燃料電池メーカー各社が再設計による仕組みの見直しや部品数の削減などを始めとした様々なコスト削減に努めているほか、国や自治体による補助金制度が整備されていますが、それでも一般消費者からすると簡単に手を出せる金額とは言えません。
燃料電池の種類や規模によっても異なりますが、寿命はだいたい4万時間とされています。
24時間絶え間なく稼働するわけではありませんが、今のところ年数に換算すると7年~10年ほどが目安と言われています。
前述のとおり燃料電池は初期投資額が相当かかりますので、寿命が短いということは割に合わない可能性があるということになります。
水素爆発という言葉に代表されるように、水素は使い方次第では大きな事故を起こす可能性があるように、一般には思われています。
故に、燃料電池車という全くの新しい自動車に対して、安全性に疑問を持たれている方も少なくないかと思います
世間的には「水素は危険」というイメージを持たれてしまっていますが、それは誤解です。
まず、水素に火が着くためには次の2つの条件が揃う必要があります。
●空気中の水素濃度が4%~75%である状態
●静電気程度のエネルギーが発生している状態
ですが、水素は空気よりも軽く拡散性が非常に高いため、屋外などの開放された空間ではほとんど濃度4%以上にはならない良さがあります。
また静電気に関しては、私たちの日常生活ではよく発生していて、ガソリンスタンドでも目にする注意点ですので、水素が特別という訳ではありません。
この画像はアメリカで行われた燃料電池車とガソリン車の事故実験のものです。
燃料電池車は水素タンクを、ガソリン車はガソリンタンクを、それぞれわざと破損させて炎上させる仕組みで事故を発生させています。
空気よりも軽い水素は垂直に空気中を上昇していくため、火柱が車体後部から垂直に上がっています。
一方、ガソリンは液体で空気よりも重く、地面に広がるため、ガソリンそのものだけではなく、車体やタイヤごと炎上してしまっています。
水素の拡散性の高さが事故時の安全性の高さに繋がっていると言えます。
左の燃料電池車では、事故3秒後にはどちらも炎が出ていますが、水素は拡散性が高いため、1分後には炎がおさまり、1分30秒後にはほぼ収束しています。
右のガソリン車は、炎上の激しさが時間と共に増しており、車内に人がいると仮定した場合、安全なのはどちらかは一目瞭然です。
そのうえ燃料電池車メーカーでは、車体がクラッシュしても耐えうる水素タンクや事故や衝突時にバルブが自動的に閉められるという仕組みの開発、その他にもタンクの爆発防止策等々と安全には十分配慮されています。
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