交通事故における損害賠償とはどんなもので、どこまで請求できるか?
2016/03/25
とっぱらや
交通事故の慰謝料額を決める基準が数通りもあり、保険会社や法律の専門家でない限り提示された慰謝料額が妥当か分からないため、保険会社の言いなりになり、妥当な慰謝料が得られずに泣き寝入りせざるを得ないことが多々起きています。今回は交通事故の慰謝料について紹介します。
慰謝料は損害賠償の一種です。精神的苦痛の対価として、苦痛を受けた被害者が加害者に対して賠償を求めるものです。
交通事故の慰謝料
交通事故に限らず、被害者の精神的苦痛は他人がはかり知ることはできず、人それぞれの思いがあります。
それでも、社会通念上から著しく外れる高額な慰謝料請求をしても、加害者はもちろん裁判所も認めてはくれません。
交通事故
もっとも、慰謝料を支払う加害者が、将来にわたっても支払えないほどの請求をしたところで、実質的には受け取れないのと同じです。
そのため、話し合いをスムーズに進める目的もあって、交通事故の慰謝料はある程度定額化されています。
まず、交通事故の慰謝料には2種類あります。「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」です。
入通院慰謝料(交通事故の慰謝料)
「後遺障害慰謝料」については、その名の通り、交通事故の「後遺症」が「後遺障害」として認定された場合に支払われるべきものです。一概にはいえませんが、「後遺障害慰謝料」は、比較的スムーズに支払われているそうです。
交通事故において、保険会社と被害者の意見や主張が食い違うことが多い「入通院慰謝料」の基準と計算式について紹介します。
交通事故慰謝料の算出方法は、基準が3つあり次のようになっています。
● 自賠責保険の基準
● 任意保険会社の基準
● 裁判基準(弁護士会基準)
これらの基準は、自賠責保険基準→任意保険基準→裁判基準の順に金額が高くなり、自賠責保険基準が低いのは、最低限の被害者救済を目的とする性質から仕方がないでしょう。
その一方で、裁判基準での慰謝料は、自賠責保険と比べて非常に高く、差額で弁護士費用が十分に支払えるほど開きがあります。
交通事故慰謝料の基準
問題は任意保険基準で、営利目的の任意保険会社は、できるだけ低く慰謝料を抑えようとするため、場合によっては自賠責保険基準レベルにまで下がります。保険会社と被害者の示談で決まり、高くなるように交渉が必要です。
自賠責保険の場合には、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金の支払基準」によって、金額の算定基準や支払方法が定められています。
交通事故慰謝料-自賠責基準
具体的には、治療期間1日当たり4,200円で計算されます。この治療期間は、入院日数及び実際の通院日数の2倍程度以内とされます。
慰謝料金額 = 4,200円 × 治療日数
例えば、入院日数20日、実際の通院日数10日、治療期間が50日の場合、入院日数と実際の通院日数は30日ですから、その2倍である60日以内であれば治療期間として認められます。
交通事故の慰謝料
したがって、このケースの場合、治療期間が50日ですので、全日数が算定の基礎として認められ、4,200円 × 50日 = 210,000円 が慰謝料として認められるということになります。
任意保険については、かつては日本損害保険協会による統一基準がありましたが、現在では保険の完全自由化が認められていますので、各保険会社によって慰謝料の支払い基準が異なっています。
交通事故慰謝料-任意保険基準
実際には、自賠責保険基準よりも高額ではあるものの、後記の裁判基準よりはかなり下回っているのが実情でしょう。
したがって、金額の算定については、各保険会社の慰謝料基準をご参照ください。
裁判における慰謝料の金額の基準は、日弁連交通事故相談センター東京支部編の「損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)」や日弁連交通事故センター編の「交通事故損害額算定基準(通称「青い本」)」に記載されている基準が用いられるのが一般的です。
交通事故慰謝料-裁判基準
これらはいずれも,自賠責保険等と同様に入院日数及び通院日数に応じて慰謝料金額を算定しています。金額的には、上記自賠責保険・任意保険交渉のいずれにも上回る金額となっています。
交通事故の慰謝料について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
交通事故の慰謝料
交通事故にあわれて慰謝料等に疑問を感じておられる方、納得のいかない方は「交通事故相談センター」や「交通事故に強い弁護士」などプロに相談されることをお勧めします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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