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戦後の西ドイツ初のV型8気筒エンジンを搭載した高性能車BMW502

馬力不足のBMW501に対して計画されたV8搭載のBMW502。V8の搭載はメルセデスが1963年に「600」で復活させるより9年も早く、高性能エンジンに賭けるBMWの威信をかけての開発であった。ドイツ最速の4ドア・サルーンとなったBMW502とは?

BMW502の概略紹介

 BMW502はドイツの自動車メーカー BMWが1954年から1964年まで生産した大型乗用車です。

BMW502

乗車定員 6人
ボディタイプ 4ドアセダン、2ドアクーペ、カブリオレ
全長4,730×全幅1,780×全高1,530mm
ホイールベース 2,835mm
駆動方式 FR
車両重量 1,440kg

 誕生当時から馬力不足が泣き所だった「BMW501」に対して計画されたのがより強力なエンジンで、しかもこのエンジンルームに収まるためにコンパクトな「V8 」が採用された。「V8」は当時全ヨーロッパでアメリカ系列の仏フォードと、戦前からV8だったチェコの「タトラ」の2車しかなかった。このエンジンを積み込んだ車は「BMW502」と名付けられ、1954年3月のジュネーブ・ショーでデビューした。

BMW502クーペ

BMW502の性能

 第二次大戦後、自動車メーカーの多くが安価な車で再建を図ったのに対し、BMWの西ドイツ側のBMW Werk 1(ミュンヘン工場)は、戦前に唯一生産した自動車が軽トラ(F76・F79)だけで自動車生産の主要設備は、東ドイツ側のアイゼナハ工場にあった為、生産の目処が立たない状況でした。

 そこで、プレミアムカー需要に賭けて新設計で戦後の自動車生産を再開し、「Baroque Angels」を送り出します。
  しかし、当初のバロック・エンジェルは、新設計のM500シリーズV8エンジンを搭載して販売するハズでしたが、開発が遅れた為に、M78型からヘッド、 インマニ、クランクシャフトなどを改良したM337/1型(1971cc)の直6エンジンがBMW 501に搭載されました。

 1954年、念願のV8エンジンM502型がようやく完成し、1954年にジュネーブ・ショーで BMW502 が発表されます。ジュネーブ・ショーにデビューしたBMW502 2.6Lは、BMW501と同じ車体に戦後の西ドイツ初のM502型V8エンジンを搭載した高性能モデルで、V8の搭載はメルセデス・ベンツが1963年に「600」で復活させるより9年も早く、高性能エンジンに賭けるBMWの威信をかけての開発であった。このエンジンで、BMW502 の最高速度は160km/hに達し、メルセデスの同級車を凌ぐドイツ最速の4ドア・サルーンとなった。

M502型エンジン 

水冷V型8気筒
総排気量 2,580cc
最高出力 100hp/4,800rpm
最大トルク 18.4kgm/2,500rpmr

1955年9月には、M506(3,168cc 120hp)を搭載した BMW502 3.2L を追加し、最高速度は170㎞/hに達した。

M506型エンジン 水冷V型8気筒
総排気量 3,168cc
最高出力 120hp/4,800rpm
最大トルク 21.4kgm/2,500rpm

 1957年には、キャブレターを2基にしたM503型(3,168cc 140hp)を搭載した BMW502 3.2L Super を追加しました。最高速度は175㎞/h。

BMW502 3.2L Superのエンジンルーム

 搭載されているのはM503型エンジン 

M503型エンジン 

水冷V型8気筒ツインキャブ
総排気量 3,168cc
最高出力 140hp/4,800rpm
最大トルク 22kgm/3,800rpm

 1961年には 502、3.2、3.2 スーパーはそれぞれ 2600L、3200L、3200S に発展した.
そしてパワーも 2600L が 110hp/ 4900rpm、3200L が 140hp/ 5400rpm、3200S が 160hpP/ 5600rpm にアップしている。
 最高速度は、3200L が 175km/h、3200S が190km/h です。

BMW502のデザイン

BMW501

 BMW502のボディは「BMW501」と同だが、ウエストにクロームのラインが入り、リアウインドウが幅一杯に拡大、フロントフェンダーの下方にフォグランプが埋め込まれた等外観に変化があった。象徴としてリア・トランクに「V8」のバッジが付けられた。

 しかし「BMW502」という表示は何処にも見当たらなかった。翌1955年にはこのV8 2.6リッター・エンジンをBMW501に積んだ「BMW501/8」を廉価版として発売、同時に「BMW502」の方はボアアップして3168ccとなり「BMW502 3.2」と変わった。

BMW502

 BMW501とBMW502の違いは、BMW502はラップアラウンドウインド(パノラミックウインド)が採用されている。写真では、リアクォーターパネルのCピラーを見て判断できます。

BMW502 カブリオレ

BMW502 V8カブリオレ

BMW502 V8カブリオレ

BMW 502 V8カブリオレ

BMW502の値段

 BMW502の価格を紹介します。

BMW502 V8

BMW 502 2.6L(1954年~1958年) 17,800~16,450マルク
BMW 502 Coupe(1954年~1958年) 21,800マルク
BMW 502 Cabriolet 2ドア(1954年~1958年) 21,900マルク
BMW 502 Cabriolet 4ドア(1954年~1958年) 21,900マルク
BMW 2.6 Luxus Limousine(1958年~1961年) 16,450~17,450マルク
BMW 2600L(1961年~1964年) 18,240マルク
BMW 502 3.2L(1955年~1958年) 17,850~18,350マルク
BMW 3.2(1958年~1961年) 17,850~18,850マルク
BMW 3200L(1961年~1962年) 19,640マルク
BMW 3.2L Super(1957年~1961年) 19,770~21,240マルク
BMW S 3200S(1961年~1963年) 21,240マルク

まとめ

 経営危機が去った1961年、502には前輪ディスクブレーキが与えられ、内外装を小変更して車名はBMW3200L/3200Sに改められました。

 BMW502 は BMW501 とともに、4ドアセダン以外にバウア社やアウテンリート社が架装した2/4ドアカブリオレと2ドアクーペが少数生産されました。

 BMW502について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございした。

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